※これは映画「ニュー・シネマ・パラダイス」中の挿入話にヒントを得て書いたお話です
by Yumi (2019)
前回のお話(プロローグ)はこちらから → 椅子から去った王子
1 美しい王女
昔、ある所に、とても美しい王女がいました。
たくさんの若者たちが、王女に恋をして、結婚を申し込みました。
でも、王女は、決まって、こう、言いました。
「私の窓の下に椅子をおき、100日間、すわり続けた方の妻になりましょう」
王女の美しさに魅せられた若者たちが次から次と挑戦しました。
王女の部屋がある塔の下に椅子をおき、昼も夜もすわり続けたのです。
だれでも、最初の10日ぐらいはがんばれます。
でも、20日、30日と経つうちに、あまりの辛さに耐えきれないなり、あきらめてしまうのが普通でした。
ある時、ドラゴンを8匹も殺したと言うつわものがやって来ました。
たくましい体をみせびらかし、
「ドラゴンの炎に焼かれ、その血しおをあびたおれ様だ。
椅子にすわるごときは、たやすいことだ!」
つわものはせせら笑って、王女の窓の下に、どっかり、こしを下ろしました。
みな、たいそう期待しましたが、50日後には椅子をけとばしていました。
「ええい、ばかばかしい! あんな女、どうせ、厚化粧でごまかしているに決まってわい!」
よほど悔しかったのでしょう、椅子を地面にたたきつけてこわし、のっしのっし、帰って行きました。
また、60日もがんばった王子がいました。
照りつける太陽や、雨風にうたれて、昼間はとてもぐったりして見えました。
けれども、一夜が明けると元気にもどって、また次の一日を耐えるのです。
「どうも、おかしいぞ」
王様は怪しんで、家来に命じて、一晩中椅子の上の王子を見張らせました。
すると、日が落ちて夜がふけると、王子そっくりの格好をした家来がやって来て、こっそり王子と交替したではありませんか!
王子のそっくりさんが椅子にすわっている間に、本物の王子は家来たちが森かげに用意したテントの中でごちそうを食べ、ゆっくり休んでいたのです。
「何たるひきょう者じゃ! さっさと、追い出せ!」
王子は家来ともども、追いはらわれてしまいました。
それ以来、椅子にすわる者は王様の家来によって、昼も夜もきびしく見張られるようになりました。
次回へつづく
※これは2019年に絵本・童話の創作Online「新作の嵐」」に掲載されたものを若干修正したものです。
「新作の嵐」へはこちらから→https://shinsakunoarashi.com/%e3%81%84%e3%81%99%e3%81%8b%e3%82%89%e5%8e%bb%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%8e%8b%e5%ad%901-7/
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